2024.02.25
【発酵する家づくり】-暮らし研究所より-
古民家ライフによって作られる「発酵住宅」
「発酵」の言葉は何を意味するのか?
さてそれは一旦おいて、家づくりの中で「暮らし研究所」は、施工管理や設計など、工事に関わるその時々のフォローを担当している。施主が工事内容を理解しやすいように説明したり、大工の仕事が順調に進むように準備をしたりしている。
「発酵」について説明するのは難しいけれど、古民家ライフでの家づくりは、一言で言えば”楽しい”。他とは少し変わった家づくりの工程をご紹介させていただきたい。
施主も大工も(それから設計も)、時には大変なことや手間のかかることもあるけれど、だからこそ得られる達成感や喜びは、各々にとって固有のものになるのかもしれない。
1.伐採ツアーのこと
新月伐採。冬の新月期に伐採した木は、最も良質な木材になると言われている。
NPO法人しんりんさんの協力のもと、実際に山へ施主をお連れして、一本の樹を選んでもらい、施主自らの手で切り倒してもらう。切り倒された樹は今度は大黒柱となり家を支えていくことになる。
人気の無い静かな雪山を、キャタピラの付いた機械が先導して進んでいく。
そこは過去に荒れ果て廃退した場所で、今はエコラの森という名前で復興が計られている。
道中カモシカや鳥を見かけたりしながら、共生が取り戻されつつある自然の中に足を踏み入れていく。
切る場所に着いたら、樹木を選ぶ。
木こりのガイドさんからチェーンソーのレクチャーを受けて手伝ってもらう。
切り始める前に皆んなで樹に向かって手を合わせて目を瞑る。
森に響くチェーンソーの音、樹がゆっくりと倒れる音、切り倒した樹木の断面はしっとりとしている
痛々しい?高揚する?
畏敬の念と人間の営みが混じり合った不思議な感じがして、
言葉に表しにくい感覚を抱えながら今来た道を戻っていく。
それから。エコビレッジ(サスティナライフ森の家さんが作った研修棟)に泊まる。
食べ物や飲み物は持ち込みなので、家族で気兼ねなく過ごせる。木の家の住み心地を体感して、マイホームへの期待が高まる。
KURIMOKUさんの工場見学。
丸太が挽かれて柱や梁になるところ、燻煙するところ、乾燥させるところ、ペレットやチップになるところ。敷地内をぐるっと回るとゴミを出さない循環する林業のあらましを見て学ぶことができる。スケールが大きくて感嘆するばかり。(古民家ライフとKURIMOKUさんが仲良しで、ほんとよかったなぁ…。)
発酵住宅に使われる木材の大部分は、KURIMOKUさんの宮城県産の杉材である。
どこで育ってどうやって加工されるのか、目で見て話で聞いて知ると安心する。
林業や環境問題は随分前から社会的な課題になっているけど、普段の生活ではあまり接点が無い。それに対してどうやって取り組んでいるのか勉強できる、大人の社会課見学のようだ。
その循環の中に家づくりが繋がっていて、山→木→家と正しいことをしているのだと思うと、詳しいことは分からなくてもなんだか清々しい。
木材漬けの2日間。家と共に記憶に残る体験は贅沢に違いない。