発酵住宅の特徴

【お願い】発酵住宅は年間に建てられる棟数が決まっています

発酵住宅は、年間で約5棟(建坪合計150坪)までしか建てることができません。そのため、基本的に販売は予約制とさせて頂いております。

ここではその理由と、発酵住宅の特徴や使用する素材についてご説明します。

発酵住宅という概念は借り物ではない

「発酵住宅」は古民家ライフ株式会社の登録商標です。

この名称は、私が大工になってから20年以上、自分で汗をかいてものを造り、食べ物をつくり、沢山の人に出会い、師匠と出会い、本を読み、自分と向き合い…。

そうして本当に自分の造りたいもの、お客様に喜んで頂けるものを考え続けた結果、舞い降りてきた贈り物です。誰かからの借り物ではありません。

造り方も一般的なチラシでよくある〇〇ハウス、〇〇の家のような、誰かが考えたシステムを採用した家とはまったく異なります。

・想いも発酵させる住宅
・完全手刻み工法
・合板を使わない住宅

これら3つが、発酵住宅が一般的な家と大きく違うところです。

想いも発酵させる住宅

当社では、家を建てるお施主様に必ずやって頂くことがあります。
それは『森林伐採ツアー』という、山に自分の家の大黒柱を伐りに行くイベントです。お子さんがいらっしゃる場合は、子供たちも一緒に山へ行きます。

目的は、大黒柱をとおして家も生きていることを実感して頂くためです。

林立する木の中から、ご家族で相談して一本の大黒柱になる木を選んで頂く。山の神様に感謝して、自分の家に招き入れる大黒柱を実際に伐って頂く。

山の空気感、土の匂い、木の匂い、暖かさ、冷たさ。当日の天候や、誰といったか、誰と伐ったか、木が倒れる音はどんなだったか…。そういった情報が全部、大黒柱に集約されます。

お子さんが伐採ツアーに参加していれば、

「この木はな、おじいちゃん、おばあちゃん、お父さんとで伐った木なんだよ。」

と語り継いでくれるでしょう。そうなれば、3代、100年以上も続く家になります。発酵住宅は想いも発酵して繋がっていくのです。

完全手刻み工法・顔の見える家造り

今の新築住宅は、大半が工場などでプレカットされた木材を使用しています。その割合は、年間の総着工数の96%にもなるそうです。

それに対し、手刻みの木材を使う工務店はわずか4%。その中でも合板を使わず、国産材だけにこだわる会社はきっと1%未満。もはや絶滅危惧種と言えます。

当社はこの絶滅危惧種の工務店です。建物の構造はもちろん、それ以外の材木も100%手刻みで造っています。
時間がかかる工法ですから、当社の熟練の職人でも、年に150坪しか造れません。冒頭に年間で約5棟分(150坪)までしか着工できないと言ったのもこれが理由になります。

一般的なプレカットなら、家一軒であれば1日~2日で骨組みの加工が終わるでしょう。また自分の手で加工する必要がないので、加工場もいりません。

それなのに、なぜ当社は手間暇をかけて木材を手刻みするのか。その理由は主に3つです。

1つ目は、ホゾ(木材を接合する継手)の長さを自由に変えられること。工場でカットする木のように規格がないので、家を建てる際の自由度が増します。

2つ目は、顔が見える家造りができること。
お母さんの手で握ったおにぎりと、コンビニのおにぎりを思い浮かべてみて下さい。運動会の日の朝、お母さんは一つ一つお米の暖かさを感じながら「ガンバってね」って想いを込めておにぎりを握ってくれます。

でも時間がなくて忙しいと「あぁもう忙しいから、お弁当はコンビニからおにぎりでも買って行ってね!ハイお金!」となるかもしれません。

大工さんが現場から現場へあっという間に移動するプレハブハウスは、コンビニのおにぎりに似ています。実際、誰が造ったのかわからないことも多いです。

でも、手刻み工法はお母さんのおにぎりと同じ。「この家がご家族にとって、安らかな場所で、100年も守ってくれますように・・・」と、一棟一棟、木の一本一本に心を込めて刻んでいます。一生住む家だからこそ、私たちは顔が見える家造りにこだわるのです。

3つ目は、手刻み工法の技術を後世に伝えるためです。手刻みが出来る大工さんは激減していて、団塊の世代の大工さんは年齢的な問題で、年間3万人もおやめになっています。

一軒の家には、数万ものパーツがあります。それらが全て頭に入らないと「墨付け」と呼ばれる作業が出来ません。この領域に来るまでには、大工修行を始めてから十数年かかります。

人は無くて七癖といわれるように、家に使う木にも一本一本「クセ」があります。熟練の大工の棟梁なら、木に触った瞬間にこの「クセ」を見抜き、それぞれの木がどちらに捻じれ、いずれどう曲がるのかを瞬時に判断できます。

そして、どのように捻じれや曲がりが起きても、それが住む人にとって影響の無いように、むしろそれが木組みとしてしっかり噛み合わさるように考えて木を配置できます。

でも、こんな技術をもった大工さんがいなくなると、いくらお金を積んでもそういう家が建てられなくなります。
今、日本の大工技術は無くなるかどうかの瀬戸際です。この問題に対し、会社としても、大工としても出来る限りの事はしていきたい。これも、当社が手刻み工法を続ける理由です。

完全手刻み工法・顔の見える家造り 完全手刻み工法・顔の見える家造り

合板を使わない、本物の自然素材の家

当社では「山と繋がる」ということを大事にしています。
そのため、家に使う木材はすべて国産材で、合板(薄くスライスした木の板を接着剤で貼り重ねたもの)も使っていません。

なぜ、合板を使わないのか。

その答えは、古民家の解体現場にあります。
築100年の古民家を解体すると、高度経済成長期にリフォームした場所が必ずボロボロになっています。

高度経済成長の時代に、新しい素材として使われた素材が合板です。この合板は年代が新しいのに、なぜか手を入れた場所がボロボロになってしまいます。そのような現場が何カ所もあったので、私は合板を使うのをやめました。

今では、合板がボロボロになる理由はハッキリわかっています。
合板材は大量の接着剤で木と木を引っつけているのですが、木には湿度を吸って伸びる特徴があります。とくに日本の夏は湿度が上がるのでより伸びやすいのですが、木と木の間にある接着剤は水分を吸いません。

湿気を吸って伸びる木と、伸びない接着剤。両者によるズレが幾度も生じたせいで、合板は少しずつバラバラになってしまうのです。このような理由があるため、当社では下地にも合板を使用せず、全て無垢材を使っています。

当社の無垢材は、「くりこまくんえん」さんという材木屋さんから仕入れています。彼らは場内に外国産材を一本も入れず、国産の木材だけを扱うこだわりの強い材木屋さんです。木の一片たりとも無駄にしない。そのような理念で材木を供給してくれています。

お付き合いを始めてかれこれ20年が経ちますが、今では彼らの構造材がなければ、合板を使わない発酵住宅は成り立たないと言えるほどです。

国産材・手刻み・木組みの家・合板を使わない「発酵住宅」は、多くの仲間たちの協力のもと造られています。

ちなみに。プレカットと違って手刻み工法では材木のストック場所が必要となります。
当社では、この材料のストック場所として、山形市内に約1500坪の土地を所有しています。裏には渓流が流れ、緑にあふれるとてもいい場所です。ぜひ遊びにお越しください。

発酵住宅に使用する素材

山形の冬は寒いですから、あなたも冬の家の暖かさは気になることと思います。

発酵住宅では、たとえば断熱なら暖房なし…はさすがに無理ですが、ストーブ1台あれば十分温かくなる家を実現しています。

発酵住宅に使用する素材

そのうえで、例えば断熱材については家の湿気を吸ったり、吐いたりして家の湿度を一定に保ってくれるセルロースファイバーを使用するなど、見えない部分にもこだわって自然に近いものを採用しています。

耐震についても同様です。当社の工法は木組みなので、一般的な工法よりもしっかり組むことができます。これにより、昔ながらの古民家が100年経っても倒れないように地震に強い家が完成します。

家に使う素材はたくさんあるので、ここで全ては書けません。そのため、ここでは木材に関して、一般的な住宅と大きく違う「産地」「乾燥」「古材」の3つをご紹介します。

発酵住宅では、時間が経てば経つほど味わいが増してくる「発酵素材」を使用しています。
自然素材を謳う会社は世の中にたくさんありますが、そのほとんどが部分的な使用にとどまっているのが現実です。

実際、例えばアレルギーをお持ちの方が「自然素材だから良い家だろう」と期待して建てても、要望を満たすことは難しいです。

私は「森びとの会」という工務店の会に所属していますが、この会は今、全国5つの工務店で構成されています。入会条件は下地に合板を使わないことと、構造材を国産材で造ること。たったこれだけなのに、クリア出来る工務店がほぼないので加盟店が増えません(苦笑い)。

つまりそれだけ、日本では合板を使い、外国産の木材を使う工務店が多いのです。

自然素材をうたいながら、見えないところにはバンバン合板を使い、表面に自然素材塗料を塗る・・・。私はこれが健康に良い自然素材住宅とは思えません。

履歴がわかる地元産の材料だけを使用

古民家ライフ株式会社の提案する発酵住宅では、古民家ライフから150キロ圏内(山形県産・宮城県産)の材料を使います。

農産物において、どこで・誰が伐って・誰が加工して・ここに来たのか?その「履歴」が分かることをトレーサビリティといいます。当社ではこれと同じく、すべて「履歴」の明確な材料だけを使って家を建てます。

林野庁が発表した令和元年の木材自給率データを見ると、外国から入ってくる材料が7割を占め、国産材の自給率は3割程度です。
製材用材に絞ると、国産材は総使用量のわずか15%程度。さらにその中には集成材も含まれているので、無垢材の使用量となると数%程度でしょう。

遠い国から運ばれてきた素材と、日本で育った素材。どちらが環境に優しいかは一目瞭然です。

家の材木も食べ物と同じ。だから、当社は地元の国産材にこだわります。

履歴がわかる地元産の材料だけを使用

発酵住宅は、木材の乾燥方法に強くこだわっています

当社では構造材の乾燥を、20年以上付き合いのある宮城県の「くりこまくんえん」さんに依頼しています。

市場に出回っている木材はほとんどが高温乾燥と呼ばれる方法で乾燥していますが、古民家ライフでは『くんえん乾燥材』と『天然乾燥材』を採用しています。
くんえん乾燥木材は、昔の古民家の柱や梁が、囲炉裏の煙で燻(いぶ)され、時間をかけて数百年の耐久性を持つ木材になるのと同じような原理で造られています。

燻煙処理は、60℃位の環境下で10日間程度、煙でゆっくり燻しあげます。低温なので、木の繊維強度が生きたまま木材を乾燥させることが可能です。

発酵住宅は、木材の乾燥方法に強くこだわっています 発酵住宅は、木材の乾燥方法に強くこだわっています

燻すための燃料にも、材木を加工した時に出るおがくずや木っ端などを使います。石油を一切使わず、木が持つ本来の強さ、美しさを最大限に引きだした木材を造り上げています。

ちなみに、一般的な高温乾燥では、木材内部の温度を100°以上に上げ、水分を沸騰させて水を抜きます。
この方法では木材に急激な負荷がかかりますし、実際に使ってみても、色が悪く材木の美しさを表現できないので古民家ライフでは使いません。

発酵住宅は、木材の乾燥方法に強くこだわっています

乾燥方法にも色々な考えがありますが、それぞれを実際に使って家を建てた結果、当社ではこちらの方がいいと判断しています。

究極の自然素材である“古材”を使用

私は、古材こそ究極の自然素材だと考えています。
今とは違い、昔の家は近くの山の木で造るのが当たり前でした。木材の乾燥に何年もかけるのが当たり前で、家を造るために、何代にもわたって材料を集めながら乾燥させていたものです。

古民家を解体するとよくわかりますが、100年以上経った古民家でも、すでに再利用された材料を使っていることがよくあります。それだけ、乾燥された木材は貴重なのです。

私も室町時代の母屋の材料を、元禄時代に使って直した・・・という話を聞いたことがあります。さすがに時代のスケール感が少し狂っている気もしますが・・・(笑)

時間をかけて乾燥させた木材は、数百年の耐久性を実現します。そのため古民家ライフでは、古材を保管するストックヤードを新設(只今建築中)し、古材も積極的に採用するようにしています。

これこそ、まさに発酵素材。
古材をより身近に感じて頂き、その年月を経て熟成された味わいを感じて頂ければと思います。

究極の自然素材である“古材”を使用 究極の自然素材である“古材”を使用 究極の自然素材である“古材”を使用

その他、発酵住宅ではこのような素材を使用しています。

材木

木の家にとって材木は命です。低温+天然乾燥され、繊維の生きている材料を使います。どこの山で誰が育て、どのように加工された材料か、産地がわかる材料だけを取扱います。(山形県産材、宮城県産材)

材木 材木

壁紙

持続可能な原料である植物繊維を漉きこんで生まれた多孔質性が、室内環境を整えるエアコンディショニング効果を発揮します。代表的な四国の土佐和紙のほか、沖縄の月桃和紙、木の小さなチップを紙に漉きこんだドイツ製のウッドチップ壁紙など、合成樹脂を含まない紙製壁紙があります。

壁紙 壁紙

たたみ

畳は農産物です。国産い草の生産地である熊本県八代市の『和たたみの里八代生産販売組合』と、「農業」と「たたみ文化」という基本から考え直して作られた国産の畳表です。

たたみ たたみ

左官材

●発酵土壁/100年以上前の解体した蔵の土を利用し、独自の配合をして作った発酵住宅オリジナル左官材です。土壁の雰囲気を醸し出してくれます。

左官材 左官材

●ホタテ貝殻塗り壁「うみびと」/殻粉末と天然のり・紙すさだけを成分にし、石灰や樹脂接着剤を一切含まない、純粋無垢なホタテ貝の漆喰風塗り壁仕上げ材です。
●白洲そとん壁/火山活動の際のマグマが粉末となったものが白洲(シラス)です。南九州地方が産地で、養分を持たない無機質な粉末のため、経年劣化が非常に少なく、カビやコケなども発生しにくいのが特徴です。透湿性も高く、100%自然素材にも関わらず防水性も兼ね備えた材料。さらにメンテナンス性にも優れた材料です。主に外壁に使用しますが、内装材としても利用できます。

ホタテ貝殻塗り壁「うみびと」

●ゼオライトエコナ/ホルムアルデヒドなどの有害物質の吸着に効果的な鉱物ゼオライト、セピオライトと珪藻土を組み合わせた内装調湿性仕上塗材です。

ゼオライトエコナ

凝灰岩

耐久性や耐火性、防水性に優れ、軽量であるなど優れた特長を持つことから、昔から建築材として重宝され、切石の形で用いられることが多い岩石です。表情が柔らかく、色々な用途、場面で利用されます。(高畠石、秋保石、大谷石等)

凝灰岩

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